S氏宅再訪

前回訪問した後、お勧めしたデジタルチャンデバを導入され、本来のメインスピーカも復活されたとのことでS氏宅に伺いました。
S氏はご自分でも周波数特性などの調整をきちんとされる方なので、ついでにディレイやクロスオーバ調整によるアライメント調整も実感して頂けるようomniMICを持参して調整させて頂きました。
メインスピーカは写真のように本格的な3WayでMIDのATC(SM75-150)が光っていますね。当初は標準的な-24dB/octのバターワースでレベルはしっかりとフラットに合わせこまれていました。
この状態でも従来のサブシステムとは各レンジの余裕が違い、解像度が高いにもかかわらず静かな印象で、各ユニットの質的なレベルが高いのが伺えます。クロスは500Hzと3.3kHzで同相です。
この状態でWaveletを見てみるとやはり高域(ツィータ)が0.25msecほど前に出ています。これは単純にディレイを掛ければ簡単に補正できます。
補正を掛けるとアライメントは合いますが、フィルターがIIRなので原理的にクロスで少し曲がりますが、ここは少しのクロス周波数の調整で済ませます。
低域側は500Hzだとwaveletでは解り難いので近傍でのクロス点の周波数特性を拡大して見ます。この辺はなれも必要ですが、ディレイを掛けてクロス点が一番盛り上がるように調整します。ただし今回は理論的には正相で良いはずですが、うまくピークが出ないので逆相の方にしました。ディレイを掛ければ同じことですが、この辺は全帯域との兼ね合いもあるので出来ればいくつか作って聴いて試すのが良いと思います。
せっかくなのでもう一つフィルターを弱めて12dBモードも調整してみます。低域のみフィルターはLR-12dB/octに変更して合わせこみます。こちらは位相は理路どおり逆相でディレイを調整します。こちらの方が位相の回転は少なくなり素直になりますが、その分帯域外のもれも大きくなるので使用ユニットとの兼ね合いですね。
最後にチャンデバに保存したフィルタープログラムを切替ながら試聴しました。各ユニットのレベルやクロス周波数はほとんど変えていないのですが、音像の出来方はまるで違います。アライメント未調整だとスピーカ周辺に音がまとまってしまい奥行きもあまり出ませんが、アライメントを合わせると全体がほぐれて音場が広がり奥行きも出ます。定位も良くなるのでスピーカの存在が感じられなくなるのでより自然な音となりストレスがなくなるようです。
アライメントをあわせた音はどちらも同じような傾向ですが、12dBの方がより自然なようなので今回はLR-12dBの方が良さそうです。
今回アライメント調整でかなり良くなりましたが、DCXは出力レベルが高いので現状では少しデジタルアウトで絞りすぎのようです。アンプ側のアッテネータを調整してDCXの出力が上げられると更に良くなります。また現状アナログ入力なのでデジタル接続も試して見られると面白いかもしれませんね。
全体のレベルが高いので今後の発展が楽しみです。
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